大ウソつきが「嘘つきです」と言ったら嘘になる？

あずあみです。

オオカミ少年の話を知っていますか？
ある少年が、みんなの関心を集めるために何度も何度も嘘をついたせいで、誰からも信用されず、最後には本当のことも信じてもらえなくなってしまったというお話です。

嘘を吐くのは良くないですね。良くないんですよ。

必要な嘘もあるだろ！！！

って言いたくなったあなた、ちょっと時間作ってじっくり読んでいってください。

嘘を自分の意思で吐くのは人間だけ

ここで言う「嘘を吐く」って、単に相手をだますとかではなく、「虚偽を強行する」というような、悪意のあるものとします。

友達から借りたゲームを壊してしまったけれど、バレないようにそのまま他の友達に又貸しして、あたかもその他の友達が壊したことにする、とか。
仕事のミスに気付いたけれど、気付かないフリして誰かが気づくまで待つ、とか。

こういうシンプルじゃない嘘のことに絞ります。

ぶっちゃけワンちゃんとかも嘘を吐く、というか人を騙そうとするじゃないですか。
本当はめちゃくちゃお腹すいてるのに、好みのごはんじゃないとそっぽを向いて食べなかったりね。
私はうさぎさんと暮らしていましたが、彼女もそんな雰囲気出してくる時ありましたからね。

でも、その嘘は実にシンプルです。

もっと美味しいごはんが貰えるかもしれない、だから騙そうとするんです。

人間の嘘は、もっと複雑です。

人間は、自分が美味しいご飯を食べたいから、だけで嘘を吐く生き物ではないんです。
他の人に美味しいご飯を食べさせたくないとか、あの人に内緒で美味しいご飯を食べたいとか、まずいご飯を食べているフリをしたりとか、そんな嘘を吐きます。

さて、動物と人間の嘘について、大きな違いは何でしょう。

それが、自分の意思で嘘を吐くということです。

人間は、感情だけでなく、意思をもって嘘を吐きます。こんなことできるの、人間だけです。動物と会話できないので憶測ですけど、たぶん人間だけです。

多くの言葉を使っているのも人間だけ

私たちのコミュニケーションに欠かせないのは言葉です。
いくら素晴らしい考えを持っていても、言葉を使わなければ伝えることができません。

言葉を正しく使ってこそ、正しいコミュニケーションが成り立ちます。

そして言葉は、嘘を吐くのに欠かせないツールでもあります。

「本当はこんなこと言いたくないんだけど」
「私は嫌だって反対したのに」

嘘を吐くなら必ず言葉が必要です。しかも、たくさんの言葉です。

たくさんの言葉を使うことができるのは、人間だけですね。
つまり、人間はより複雑な嘘を吐くための思考も、ツールも持ち合わせているということになります。

言葉を嘘のために使うとコミュニティが崩壊する

人間は、正しいコミュニケーションによって生きてきました。
コミュニケーションでより多くの情報を伝え、危険を回避したり、協力したりして暮らしてきました。

私たちの円滑なコミュニケーションに欠かせない言葉。
この言葉は、正しく使ってこそ意味があります。

そりゃそうですよね。

西に怪物が出たのに、「東の方向に怪物が出た！西に逃げろ！」って嘘を吐けば、危険にまっしぐらです。もう終わりです。怪物ドーンです。

本来は正しい情報を伝えるために使うはずの言葉を、嘘を吐くために使うと、

コミュニティが崩壊します。

オオカミ少年がまさにこれです。
彼は最終的に信用を失い、そのせいで大切な羊をすべて失ってしまいます。彼の嘘は、彼の信用を失うというだけでなく、コミュニティ全体が崩壊することになったのです。

嘘を吐けば人間の言葉も鳴き声になる

嘘を吐いている人間の言葉は、意味を持たなくなります。
オオカミ少年が「オオカミがでたぞ～！」って叫んでも、みんなは見向きもしませんでした。

もう、彼の言葉には意味がなくなっていたからです。

彼のオオカミが出た、という言葉は、今日もいい天気だ、という言葉と変わらなくなってしまったのです。嘘を吐くことで、彼は彼の言葉の意味を失くしたのです。

人は嘘を吐くと、人の言葉が喋れなくなります。

嘘を吐けば、人間の言葉はただの鳴き声と変わらなくなってしまうのです。

嘘ばかり吐いていると、人として信頼されなくなるどころの話ではありません。言葉を失うことになります。

大ウソつきが「嘘つきです」と言っても…

大ウソつきが「嘘つきです」って言ったからって、その人が嘘つきになるとかならないとか、もはやそんな話ではないのです。
大ウソつきが鳴いている、それだけのこと。今日は機嫌が良いのかな、とか、そういうレベルですね。

人にとって本当に必要な嘘なんて、ないのではないかと思います。

私は、悲しい嘘をたくさん吐かれました。
悲しい嘘を吐く人の言葉は、人の言葉と思えなくなるのです。

悲しい嘘を吐かれた後には、何を言われても、本当はどうなのかしら、と考えてしまうのです。

それはもう、言葉として意味をなしていません。悲しいだけです。

優しい嘘ってあるのかな。必要な嘘ってあるのかな。